『常設型就活カフェ NANA-SHOKUの失敗談と未来の話。』セミナー開催しました

就活カフェNANA-SHOKUはオープンから1年、プロジェクト立ち上げからは2年半が経ちました。

今後のカフェがもっと求められる存在になるために、うまくいかなかったこと、失敗したことを一度整理して、良い2年目にしていくため、『常設型就活カフェ NANA-SHOKUの失敗談と未来の話。』セミナーを開催しました。

そのセミナーの様子をみなさまにお届けします。

登壇者の紹介

プロジェクト発足〜物件探し開始

武友:もともと私たちの会社は、本業はカフェではなくて新卒採用のコンサルティングです。2013年に設立しましたが、私自身は大学にも行っていないし、就活もしていません。ただ、前職時代、大学生のアルバイトたちがバイト先ではすごく楽しそうに働いているのに、リクルートスーツを着て面接を受けに行って落ち込んで帰ってくることがとても不思議だったんです。面白そうなことに挑戦するときにネガティブな気持ちになる必要があるのかなとずっと違和感を感じていました。

山崎:この就職活動に対する違和感が就活カフェの事業に繋がっているんですね!

武友:そうです。ナナクレマはお客さまの約9割が学生が普段の生活であまりお名前を聞くことがない企業様なんです。どんなにいい会社さんで社長がすごく頑張っていても、学生に”知られていない”という理由で学生を集めることが出来ないことにすごくモヤモヤしていました。そのときに、静岡の人が静岡に就職する手段がすごく少ないことに気づいて、「私たちが学生と企業が会える場所を作らなきゃ!」と構想していたのが2019年です。

山崎:モチベーショングラフを見ると、スタート早々落ちていますが、何があったんですか?

武友:「これをやりたい!」という純粋な想いよりも誰と組んだらこのプロジェクトに優位性が生まれるかを考えてしまっていました。

山崎:この後はどうなるんですか?

武友:この後は、いわゆるネームバリューのある企業さまの力も借りながらプロジェクトをスタートしましたが、コンセプトがしっかりしていなかったので結局進まないんですね。ゴールが定まっていないので、ミーティングで何を決めるか、どっちに進むかがわからないままとりあえず集まるという定例会がありました。

若林:融資が受けやすくなるなど、わかりやすい名前が並んでいる価値は十分にあると思うので、一概に悪いというのはなかなか気づきにくいと思います。振り返ればわかるんですけどね。

山崎:そして、物件を40件探してもピンとこないというのは何があったんですか?

武友:ビジョンや仕組みを考えたりしながら定例のミーティングが進んでいって関わる大人たちも増えていくんですが、「本当にやる」と思っている数人以外は「できないかもしれない」と思っている雰囲気が伝わってきて…。気持ちに差がある状態のミーティングが長く続いていて、ネガティブな思考に引っ張られてしまった時期がありました。

山崎:ミーティングの雰囲気がネガティブに引っ張られていたんですね。

武友:そうなんです。ただそんな中でも前には進めて行きたいという想いがあり、お金を払う、人を雇用する、場所を決めるの3つのどれかを決断すると後に引けない状態になるとわかっていたので、先に場所を決めちゃおうと思って物件探しを始めました。コロナの影響でたくさんの飲食店さんが閉店せざるを得なくなったとのことで、40件ほど物件を紹介いただいたのですが、就活カフェのイメージにピッタリはまるような物件がなかなか見つからなくて、悩んでいました。

 

物件探し開始〜プレオープンまで


山崎:その後さまざまな出会いがあって場所が決まり、アルバイトの募集を始めたんですね!

武友:そうです!まだお店がどれくらい忙しくなるかもわからない中、15人集めました。

山崎:それは説明会で、ですか?

武友:いや、採用です。

山崎:採用で!?

武友:私のイメージでは、めちゃくちゃ忙しいお店だったんですよ(笑)

山崎:そして、現在の店長が入ってきてくれて、オープンを迎えると!

 

 

プレオープン〜現在①

山崎:グラフを見ると、もう線が見えなくなっちゃってますよ!何があったんですか?

武友:10月28日から3日間のプレオープンでは、100人以上の学生が来てくれました。

山崎:3日で100人!?ちなみにどうやって集客したんですか?

武友:そこが問題で、なんで来たのかがわからなかったんです。

桜井:チラシを配ったりしたんですか?

武友:チラシは配っていないんですが、新聞に載せました。

桜井:新聞に!でも学生は新聞を読まないですよね。

武友:でも来たんですよ。あと、各大学に案内も出したので、その口コミもあるかもしれないです。

山崎:学校で話題になっていたのかもしれないですね!

若林:学生の知り合いがいるんですが、確かにこの時期NANA-SHOKUの名前を結構聞きましたよ!学生向けの何かができるらしいって。

武友:口コミは集客の面でどう考えればいいんですか?

桜井:静岡人はミーハーなんでなにか新しいものができたら1回は行くんですよ(笑)。実はそんなもんです。

山崎:でも何を見て来たのかは知りたいところですね。

武友:この時期から学生がいつ来るのかがわからなくなったんです。

山崎:この後グラフが下がってますね。

武友:そうなんです。11月1日にオープンしてから、ものすごく暇になってしまいました。12月は月の営業日の半分くらいが0人だったこともあったんです。

山崎:さらにそこから落ちて、アルバイトは削減したんですね。

武友:お客さんが来なくてやることがないのでシフトが組めなくなり、せっかく来てくれてもインスタの画像作ってもらうくらいしか店内でできることがなくて…。シフトに入れなかったり、入ってもあまり期待した経験がつめないこともあり辞めていってしまいました。退職したアルバイトさんにはほんと申し訳なかったです!

山崎:だからコンセプトを考え直したり、協賛企業を募ったりしたんですね。でも学生が来ないと協賛企業も集まらないですよね?

武友:そうなんですよ。なので、「学生なら誰でも歓迎!」と安易な策に走ってしまいました。

若林:就活マッチングという時点でコンセプトと言えばコンセプトになるんですが、どこまで詰められていたらよかったんですかね。新しいもので話題性もありそうだし、当時の感覚だと「行けるんじゃないか!」ってなりそう。

山崎:ビジネスモデル自体は東京にすでにありますもんね。4年前ですが「静岡にもあったほうがいい」という静岡の学生の声は何度か聞いたことがあったので、学生からすれば待望の就活カフェだと思うんですが…。

桜井:東京で就活カフェが流行った時代と、去年では学生の心境や価値観、社会情勢が違っていたかもしれないですね。昔は合同説明会が多かったんですが、コロナ禍になって外に出ることに抵抗を感じたり、知っている人と会いたいというクローズドな価値観になり、学生側がズレてきたのかもしれません。

山崎:東京の就活カフェがなぜうまくいったのか、研究はしたんですか?

武友:研究しました。東京の就活カフェは大学のすぐ近くにあって、Wi-Fiもコンセントも使えて、カフェに行けば先輩が働いています。NANA-SHOKUはというと、まず大学からめちゃくちゃ遠いですし、お店が暇だから働いている先輩も少ないなど、さまざまな違いがあります。

桜井:大学の近くでカフェを開こうとは思わなかったんですか?

武友:案にはありました。学生にアンケートを取ったところ、意外と大学の近くではなくて街中にあった方がいいという意見が多かったんです。

桜井:それはどれくらいの人数に聞いたんですか?

武友:50人くらいです。

桜井:ちょっと少なすぎるかもしれないですね…。「意外と多い」って結構落とし穴なんですよ。

若林:行くかわからないけど、街中にあったらいい「かも」なんですよね。

山崎:どういうアンケートの取り方をしたらよかったんでしょうか?

若林:アンケートの数も大事ですが、ターゲットにあたる人の真意を深ぼる方が結果的に打率が高いように感じます。どう答えたのかよりもなぜそう答えたのかの方が大事で、アンケートという手法だと事前に用意した質問しか聞くことができないので難しいかもしれませんね。

山崎:モチベーショングラフを見るとどんどん下がって見えなくなっていますが…。

武友:オープンしてからお客さんが来なかったので、安易な策に走ってしまいました。例えば、インスタの広告を出したり、学生団体の代表の子と仲良くなってその子が学生を連れてきてくれるんじゃないかと期待したり。これが続いた結果、お店に来る理由がないので、「ただのカフェじゃん」「来ても何もないじゃん」と思われてしまって来なくなってしまいました。そして次に、学生はいずれ就活をするので、まずはカフェ利用の学生を増やそうと、学生が無料でカフェ利用ができることを強調しました。そうするとヘッドフォンで勉強している人が多くなって協賛企業と話をしないんですね。協賛企業さんは、学生がいても話ができないので、少しずつ離れていってしまいました。

 

プレオープン〜現在②

山崎:最近はグラフが上がっていますが、何があったんですか?

武友:現在の店長の窪田がメキメキと育ってお店の大黒柱になりました。NANA-SHOKUを介して学んでいることなんですが、起業と雇用は全然違います。自分が食べていく経営と人を食べさせる経営は本当に違います。この3〜4年くらいで学んでいて、これは自分に稼ぐ力があるかどうかよりも自分についてきてくれる人がいるかどうかなんですよね。いくら給料が高くても社長が尊敬できなかったらやめるじゃないですか。

また、学生がカフェで出会った企業さんから内定をもらったり、色々なイベントに出展したけど繋がらなかった企業さんがこのカフェで学生と話して内定につながったりなどいろんな嬉しい報告をいただいています。県大の岩崎ゼミさんや焼津市さんともコラボさせてもらい、少しずつ就活カフェとして成功しているんじゃないかなと思っています。

山崎:NANA-SHOKUの今後のビジョンはありますか?

武友:大手の媒体でよく行われている合説やサイトでは学生と出会えなかった企業さんが、NANA-SHOKUだからこそ出会えるという場所になりたいと思っています。どんな企業かはわからないけど話してみたらすごく魅力的な企業だったという新しい切り口の就活を作りたいです。また、就活カフェを始めて1年になりますが、どうしたらいいかわからない学生が多いことがわかりました。公務員試験で不採用になってしまった学生や、頑張って就活したけどゴールに辿り着けなかった学生が親や友達に話せずにここにくるということがすごく多くて、そういう就活難民みたいな学生を救っていく駆け込み寺になるのも1つの役割かなと思っています。

山崎:就活駆け込み寺いいじゃないですか!武友さんはどんな2年目にしたいですか?

武友:シンプルに学生の声をもっと聞きたいです。企業さんに求められるには結局学生に求められるお店にならなきゃいけないので、まずは学生が来たいと思うようなお店づくりをしていきたいと思います。

 

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